株式会社近藤工務店

世代交代を機会に強みを活かした経営で、
建売住宅から注文住宅の工務店へシフト。

世代交代を機会に強みを活かした経営で、建売住宅から注文住宅の工務店へシフト。

会社概要

創業から60年の実績と、高い技術力や柔軟な対応力で注文住宅やリノベーションを手掛ける工務店。「かすがい」という意味のclampをコンセプトに不動産、設計事務所などと連携して、お客様のニーズに寄り添うトータルな家づくりを実現します。

記事のポイント!

  • 世代交代とステップアップのために
  • 効果的な販促活動で建売住宅から注文住宅の施工店への脱却
  • 次代を担う人材を育成できる環境づくりへ

先代の築き上げてきたものを守り、新たな挑戦へ

住宅街を少し入ったところに建つ白くモダンな一軒家。若いご夫婦が住むこの家の建築工事を手掛けたのが、近藤工務店。住居内は機能性と美しさが見事に調和した空間が広がっていました。大工だった現会長の近藤三喜氏が1960年に創業。現社長で三喜氏の長男の近藤喜直氏は大学卒業後、建設会社に勤めた後に同社へ入社しました。
現在、80歳を越える三喜氏が現場を離れて数年がたち、事業承継を考えるタイミングではありましたが、喜直氏曰く「うちのような家族経営の工務店だと、外からの情報が入ってこない」とのことで、何をどうしたらよいかわからない状況でした。そうしたなかで日頃から交流のあった日本政策公庫三鷹支店様より無料の専門家派遣制度を提案され、受けることになりました。
専門家派遣制度を受けるにあたっては、コーディネーターより、販路開拓方法、補助金活用やノウハウの承継方法、承継に至る計画づくり等必要な要素を洗い出してもらいました。その上で、社長と後継者のみで進めるのではなく、事務を担当されているご家族も含め全員で話し合いながら、進めていったとのこと。事業承継を会社が成長するための一つのアクションとしてとらえ、前向きな形で取り組みました。そして、先代が築き上げてきたものを守りながらも、次の代の経営を見据えて、経営戦略を見直し、新しい市場に乗り出したのです。このような挑戦において、活用したのが「事業承継円滑化支援助成金」でした。

先代の築き上げてきたものを守り、新たな挑戦へ
先代の築き上げてきたものを守り、新たな挑戦へ

建売住宅から注文住宅の工務店への脱却

活用した助成金については、事業承継計画の認定を受けると、4年間のうちに2度の申請が行えます。事業の販促活動をはじめ、円滑な事業承継のための調査、分析及びコンサルティング費用、後継者教育のための研修費用、複合機や現場を遠隔で把握する防犯カメラの購入など、思い切った投資を実施。
特に近藤工務店の大きな飛躍のきっかけとなったのが販路開拓のためのアプローチ。もともと高い技術力と対応力を備えた工務店でありながら、近年は建売住宅を中心に不動産会社と組んで多くの住宅を手掛けていました。より安価に仕上げるために坪単価で施工料が決まる事で、職人の技量が評価され、工務店としては成長が見込める分野とは言えません。
そこで、自社の強みを発揮できる市場に活路を見出すこととなりました。注文住宅の施工に焦点をあてて、対象となる顧客を一般消費者に広める事にしました。そのために、地域のお祭りでPRしたり、地道なチラシポスティングを行いましたが、なかなか成約には結びついていませんでした。
こうした状況下で専門家から提案されたのは、訴求先を個人ではなく、建築家に切り替え、近藤工務店の魅力が伝わるツールを作ることでした。

建売住宅から注文住宅の工務店への脱却
建売住宅から注文住宅の工務店への脱却

自社の強みと価値を見える化し的確に訴求

専門家の方たちと一緒に近藤工務店ならではの強みを問い直したときに、技術力だけでなく、営業力や人的ネットワークなどもあることが見えてきました。その過程で「かすがい」という意味のclamp(クランプ)を用いるというアイディアが生まれ、コーポレートアイデンティティに活用する事を考案。専門家の力も借りて、商標権も出願しました。技術力だけでなく、営業力やネットワーク等を活かし、建築家や不動産屋などの作り手と、施工主となる住まい手のつなぎ役となって納得のいく家づくりを実現する体制を構築していることが他社との差別化になりました。

こうしたコンセプトをロゴデザインに落とし込んだうえで、会社案内やウェブサイト、建築家向けのリーフレットを制作し、販促ツール一式を東京都内の設計事務所に向けて発送。すると、ひと月に何件も電話があるなど想像以上の反響がありました。問い合わせから成約にもつながったケースも複数あり、確実な成果を得ることができました。
自社の強みを問い直し、活かすための販促活動を行う事で、建売住宅を受注する下請けから注文住宅を手掛ける元請けへと見事に転換することができました。喜直氏と、喜直氏の妻で総務を担当する近藤幸子氏も、助成金の活用で大きなインパクトがあったのは「広報面」だったと話します。
幸子氏は「CIやロゴを何週間もかけて考えましたが、社内で話し合いの場ができたことがものすごく大きかったです。専門家の方たちが共に考え、意見を引き出し、導いてくださったので、安心して取り組むことができました。そして一緒に考えていく中で成長していく実感を持てました」と話してくださいました。近藤工務店の強みや価値を、社員全員が主体的に考え、想いを共有したことで一体感が生まれ、一人ひとりのやりがいにも大きく貢献しているようです。

自社の強みと価値を見える化し的確に訴求
自社の強みと価値を見える化し的確に訴求

モノづくりを愛する人材が集う魅力ある工務店へ

設計したデザインのこだわりや想いを汲み取り、きめ細かく具現化できる喜直氏の技術力。ともに家を建てた建築家は高い信頼を寄せます。建築家の想いに寄り添える共感力と、高い技術力を備えた工務店は多くありません。低価格な建売住宅が増えるなかで、高い技術力を持った職人が減少傾向にあります。喜直氏は「今ある技術を引き継ぎ、職人さんの世代交代をうまくさせていきたい」と人材育成に意欲を見せます。ものづくりに興味のある若い人に来てもらい、技術を伝えるだけでなく、自分たちにはない新たなアイディアや技術を取り入れたいと考えているとのこと。そのために「ものづくりに興味がある人にもってこいの場所だと思える会社にしたい」することがこれからの課題とお話しくださいました。

※CI(コーポレートアイデンティティ)=ロゴやシンボルマーク等を用いて企業の経営理念をお客様や関係者に伝え、企業としての姿勢を理解して頂くための活動。

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担当コーディネーターの声

先代の社長である近藤三喜氏が個人にて創業したのが昭和36年10月であり、創業60周年を迎えた令和3年に2代目である近藤喜直氏に事業承継が完了しました。支援のポイントはとことん時間をかけて家族とともに経営課題に対してディスカッションして優先順位をつけて、会社の強みと目指すべき方向性を明確にさせたことです。それによって安定受注につながり、更なる飛躍が期待できる工務店に成長したと思います。

担当コーディネーター:井之上 正司

企業データ

会社名 株式会社近藤工務店
代表者 代表取締役 近藤喜直
所在地 東京都西東京市中町1-1-1
電話 042-424-0330
業種 建設業(総合工事業)
URL https://www.kondo-koumuten.jp/(企業向けサイト)

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東京都商工会連合会 多摩・島しょ経営支援拠点
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