柳屋

平行線ではなく、少しずつ進める、
事業承継に必要なアプローチ。

商店概要

昭和初期に創業した蕎麦処・柳屋では、五日市に流れる“ゆったり”としたひとときを感じながら、旬の食材を使用した料理を楽しむことができます。北海道産の蕎麦粉と田舎粉(蕎麦殻も一緒に挽きこんだ蕎麦粉)を使用した「二八蕎麦」は、蕎麦の香りが立ち、のど越しも良く、オリジナルのつゆとの相性も抜群。また、自然農法で栽培されたマコモダケの葉をじっくりと焙煎した「まこも茶」等の販売も行っています。

記事のポイント!

  • 親子の衝突なしに蕎麦屋の事業承継を進める
  • オリジナル商品の商標登録にチャレンジ
  • 地元でしか食べられない料理を提供

第三者を含めて少しでも事業承継を進める

柳屋が蕎麦を始めたのはおよそ10年前。以前は現代表・高橋正邦氏と妻の幸子氏が、夫婦で弁当屋を営んでいました。しかし、仕出し弁当の注文が減少傾向にあったため、変化が必要と考えた娘の正幸代氏は、父の夢でもあった“蕎麦屋”を始めることを決意し、会社を退職。料理学校で和食の勉強をした後に、蕎麦屋での1年間の修行を経て、柳屋は蕎麦屋として再出発を果たしました。現在、東京・五日市の自然が感じられる蕎麦処として、田舎粉を使用した「二八蕎麦」を始め、地元の食材をふんだんに使用した「里山弁当」など、五日市の四季を楽しめる料理を提供しています。
今回、商工会へ事業承継支援を依頼したのは後継者の正幸代氏。事業承継について、「いずれは考えなければならない」と思いながらも、親子だけだと意見の衝突が起きるのは明らかだったため、第三者の意見を聞きながら、少しずつでも準備を進められるよう支援を受けることにしました。

第三者を含めて少しでも事業承継を進める
※商品開発にも積極的。地元の食材をふんだんに使用したお汁粉を開発中。白糖を使用せず、麹本来の甘味を引き出した。

オリジナル商品の商標登録に挑戦

まずは事業承継円滑化支援助成金を活用して、ホームページのリニューアルに取り掛かりました。それにより管理会社を通さずに自身で情報修正ができるようになり、リアルタイムでの情報発信が可能となりました。また、オリジナル商品の商標登録にも挑戦。柳屋には、食用竹炭を練り込んで作った蕎麦「黒八蕎麦」というオリジナル商品があります。五日市で盛んに作られていた泥染めの絹織物「黒八丈」をイメージして開発した蕎麦です。その商標登録を行うため、専門家の指導のもと、一つずつ段階を踏みながら手続きを進めました。そして、およそ1年間の審査を経て見事に商標を獲得。「商標登録は、家族で成し遂げた柳屋の歴史の一つ」と、家族みんなで喜んだそうです。また、減少傾向にあった仕出し弁当の取り扱いを中止するなど、承継後の経営を意識しながら、一つずつ経営改善を図りました。

「娘にはつらい経験をさせたくない」

これまで家族で蕎麦屋を経営してきた柳屋ですが、正幸代氏が会社を辞めて蕎麦屋を始めると聞いたとき、父正邦氏は嬉しさとともに、「自分が経験してきたつらい思いを娘には経験させたくない」という気持ちもありました。母幸子氏も料理を仕事にする苦労を知る身として、「そんな大変な仕事を娘までする必要がない」と感じていました。しかし、早朝から夜遅くまで修行に励む正幸代氏の姿を見て、娘の覚悟を感じた両親。それからおよそ10年。コロナ禍による半年休業など、先が見えない不安な時期を家族で乗り越え、今では少しずつお客さんも戻り、売上もコロナ禍前に戻りつつあるといいます。

「娘にはつらい経験をさせたくない」
※マコモダケの葉を丁寧に焙煎する後継者の正幸代氏

経営の専門家による的確な意見

親子でも、経営のアプローチは異なります。ただし、店を想う気持ちは同じのはず。正幸代氏は「お互いに悩んで平行線になるのではなく、商工会を通じて、専門家の意見を聞いてみるのもいいと思います」と話してくれました。また、正邦氏も「経営のプロによるアドバイスがあることは本当に心強いです」と、今回の事業承継支援を振り返りました。
事業承継後は、さらに五日市の食材を活かした、五日市でしか食べられない料理を提供していくとのこと。すでにホームページをきっかけに、地元の農家から採れたての新鮮な野菜の仕入れが決まっており、柳屋の考える五日市産という食材へのこだわりの輪が広がっています。また、正幸代氏は、将来的に自身も少しずつ農業に関わっていくとし、「農業に関わることで、農家さんの思いや食材を深く知る事で、五日市の良さが伝わる料理を提供していきたい」という抱負も話してくれました。

経営の専門家による的確な意見

担当コーディネーターの声

五日市産の食材にこだわり、地域の特産品である黒八丈をイメージした黒八蕎麦、秋川で正邦社長が釣ってくるアユやマスなど。これらの当店の魅力をさらに磨き、当店を知っていただき、お客様に来店していただくにはどうすればよいかを一所懸命に考えました。事業承継は端緒についたばかりですが、正幸代さんの主張が少しずつ定着し始め、「親子の衝突なし」の事業承継が叶いそうです。

担当コーディネーター 原 隆道

企業データ

事業所名 柳屋
代表者 高橋正邦
住所 東京都あきる野市舘谷218
電話 042-596-0071
業種 飲食業
URL https://a-yanagiya.com/

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